筆者は現在30代の半ばに差し掛かりますが、資産1億円を超えたところで漸く定義上の富裕層に到達することができました。
現在は2億円以上ありますが、正直現役世代で尚且つ東京で子供を2人育てているので全くリタイアする水準には届いていません。東京で子育てをしている現役世代がリタイアするためには最低でも2億円、できれば3億円は金融資産が欲しいと以下の記事で分析いたしました。
→ 50歳〜60歳で金融資産2億円〜3億円あったらリタイアは可能?資産運用を活用して豊かな老後生活を送ろう!
ただ、子育てに目処がついた世帯であれば1億円から1億5000万円あれば現実的な数値になってくるのではないでしょうか?
本日は実際、いくらあれば老後リタイアが可能となるのかという点について、リスクシナリオも含めてお伝えしていきたいと思います。
関連記事>>
夫婦2人の60歳以降の老後の生活費とは?
まずは高齢世帯の夫婦の生活費について見ていきたいと思います。以下は高齢世帯の家計収支となっています。
項目 | |
---|---|
食料 | 65,760 |
住居 | 16,608 |
光熱・水道 | 19,526 |
家具・家事用品 | 10,324 |
被服及び履物 | 4,938 |
保険医療 | 16,159 |
交通通信 | 25,137 |
教養娯楽 | 19,301 |
交際費 | 20,648 |
その他 | 25,810 |
税金等 | 30,664 |
合計(月額) | 224,436 |
合計(年額) | 2,693,232 |
地方であれば、1億5000万円あればリタイアできるのは自明なので、今回は都会で豊かな老後を暮らす場合として考えていきたいと思います。
以下は東京で豊かな老後生活を行った場合に洗い替えた現実的な数値です。持ち家の場合と、賃貸の場合で分けました。持ち家の住宅費は固定資産税です。
東京で裕福な老後 | 持ち家 | 賃貸 |
食料 | 100,000 | 100,000 |
住居 | 20,000 | 200,000 |
光熱・水道 | 25,000 | 25,000 |
家具・家事用品 | 20,000 | 20,000 |
被服及び履物 | 20,000 | 20,000 |
保険医療 | 20,000 | 20,000 |
交通通信 | 25,000 | 25,000 |
教養娯楽 | 20,000 | 20,000 |
交際費 | 50,000 | 50,000 |
その他 | 30,000 | 30,000 |
税金等 | 40,000 | 40,000 |
合計(月額) | 370,000 | 550,000 |
合計(年額) | 444万円 | 660万円 |
現在は男性の4分の1以上、女性の半数以上が90歳を迎える時代です。保守的に考えるならば100歳まで生きる前提で人生プランを組み立てる必要があります。
60歳以降だと40年間ということになります。つまり先ほどの年間必要経費に掛け合わせることで必要な支出は以下となります。
東京で裕福な老後 | 持ち家 | 賃貸 |
合計(年額) | 444万円 | 660万円 |
100歳までの40年間 | 1億7760万円 | 2億6400万円 |
現実的な数値ではないでしょうか。
老後に得られる収入の合計とは?
では老後に得られる収入についても見ていきましょう。以下は年収毎の60歳で退職した場合に65歳からもらえる毎年の年金額です。
60歳退職 | ||
平均年収 | 400万円 | 163.1万円 |
500万円 | 180.6万円 | |
600万円 | 203.1万円 | |
700万円 | 225.6万円 | |
762万円以上 | 240.5万円 |
年収762万円以上は標準月額報酬(63.5万円×12ヶ月)の上限に達してしまうので受け取れる年金額は一定となります。
1.5億円もの資産を構築できる方は当然年収は高い方が多いとおもうので上記の表の最高額である年間240.5万円を採用します。65歳から100歳までの35年間で考えると8417万円となります。
また退職した時には当然退職一時金をいただくことができます。以下は大卒の退職金について総務省が発表しているデータとなっています。60歳定年だと平均して2918万円をいただくことが可能となります。
勤続25年 (47歳) | 勤続30年 (52歳) | 勤続35年 (57歳) | 60歳定年 | |
平均 | 1540万円 | 2195万円 | 2630万円 | 2918万円 |
退職一時金2918万円と65歳から貰える年金8417万円の合計は1億1335万円となります。
結局、豊かな老後生活を送るのに1.5億円で足りるのか?
老後にいくら必要なのか?
まず今までの議論をまとめて老後の収支を出すと以下となります。
東京で裕福な老後 | 持ち家 | 賃貸 |
必要な支出① | 1億7760万円 | 2億6400万円 |
得られる収入② | 1億1335万円 | |
必要な備え(=①-②) | 6425万円 | 1億5065万円 |
しかし、ことは上記のように簡単なことではありません。現在はインフレが発生しているからです。
インフレほど増えない?マクロ経済スライドとは?
年金で生活する時に気をつけないといけないのが顕在化しているインフレリスクです。日本ではバブル以降デフレスパイラルに陥っていましたが、2022年からまたインフレの時代が到来しました。
一言にインフレといっても需要が増える型のデマンドプルインフレと、コストがあがることを主因としたコストプッシュインフレが存在します。
デマンドプルインフレは経済が成長している過程で発生するインフレなので健全です。日本の高度経済成長期はデマンドプルインフレが発生していました。
しかし、2022年以降発生しているインフレはコストプッシュ型のインフレです。給料が上昇しない中でエネルギー価格や食料品価格などの高騰が発生している悪性のインフレです。
日本はエネルギーや食料品を海外から輸入しているので、海外でインフレが発生したら円安もあいまって日本国内の物価も上昇してしまうのです。
インフレに応じて年金も上昇すればよいのですが、残念ながら現在の日本の財政状況ではインフレ分だけ年金を増加させることはできません。
物価上昇に調整を加えた分しか年金の金額は増加しません。例えば令和五年度の調整率は▲0.3%でした。インフレ率が3%程度なので2.7%しか年金は増えないということになります。
また、調整以下のインフレの場合は年金は上昇しません。つまりインフレ率が0.3%以下なら年金の金額は上昇しないということです。
いずれにせよインフレ率以下の金額しか年金は増加していかないのです。
そもそも豊かな老後の生活費を行うための生活費の金額は、年金を大きく上回っています。インフレの影響を加味すると先ほど算出した金額では全くたりません。
60歳でリタイア後に100歳までの40年間という期間を考えると楽観的にみても1.5倍、悲観的にみると2倍は必要になってきます。
東京で裕福な老後 | 持ち家 | 賃貸 |
必要な備え(=①-②) | 6425万円 | 1億5065万円 |
インフレを加味(楽観的) | 約1億円 | 約2億2000万円 |
インフレを加味(保守亭) | 約1億3000万円 | 約3億円 |
1億5000万円あったとしても賃貸の場合は足りなくなる可能性があります。持ち家であれば住み続ける前提であれば足りるということができます。
しかし、既にローンを払い終えている物件に100歳まで住むことは現実的ではありません。仮に30歳に家を買っているとすると100歳時点では築70年になりますからね。
現実的には持ち家の場合でも持ち家と賃貸の半々で考えた方がよいでしょう。豊かな老後を完遂すると考えると1億5000万円でも心許ないというのが正直な感想です。
老後40年、なにがあるかわからない不透明性の高い長期間を乗り切るには保守的に見積もる必要があるのです。
関連記事:
豊かな老後リタイア生活に向けた資産運用とは?
では1.5億円を保有している方に向けて豊かな老後に向けた資産運用法についてお伝えしていきたいと思います。
1.5億円を老後の資産として運用する時に考える時に重要なことは以下となります。
- インフレに負けない3%-4%程度の運用利回り
- 生活資金として現金である程度とっておきたい
- 暴落は回避したい
1億5000万円を全額投資に回すのは正直不安という方が多いかと思います。5000万円から1億円を運用して1億5000万円ベースで考えて3%-4%の利回りを確保できたら御の字ですよね。
半分の7500万円を10%で運用することができれば1億5000万円ベースで考えても年率5%のリターンを得ることができます。
7500万円の10%を税後で考えると600万円となり、生活費をほぼ賄うことができるので資産を極力減らさずに精神的にも豊かな老後生活を送ることが可能となります。
また、リタイア後の資産は若い世代の資産運用と異なり暴落を被ったり、大きく資産を失うわけにはいきません。
若い世帯は仮に資産を失っても稼いで補うことができますからね。リーマンショックのような市場な大暴落で運用資産を半減するわけにはいかないのです。
暴落を回避しながら安定して10%程度のリターンを狙える投資先としてヘッジファンドがあります。
ヘッジファンドは株式や債券とは異なる動きでリターンを出しており新たな選択肢として機関投資家等から注目されています。ヘッジファンドは株式市場の暴落を抑制しながら安定して高いリターンを出し続けています。
老後資産の運用先として非常に適した選択肢であると考えています。世の中には運用方針や投資戦略が異なる様々なヘッジファンドが存在します。ロングショート戦略で果敢にリスクをとりにいくファンドや、堅実な運用リターンを目指すファンドなどです。
筆者の場合は、ハイリターンは目指さず、インフレにも負けることなくしっかりと着実に歩を進めることができる堅実な運用を特徴としているファンドを選んでいます。具体的には、老舗ヘッジファンドであるBMキャピタルです。同社については、詳しくは以下で記載しているので、ぜひ参考にしてみてください。
その他、以下では筆者が投資しているファンドを含めて日本の個人投資家にも投資できるファンドについてまとめていますのでご覧いただければと思います。
まとめ
1億5000万円あれば持ち家の方であれば東京で豊かな老後生活を送ることが可能となります。
ただ、築年数が古くなり途中から賃貸に住み替える必要があることや、インフレを加味すると十分安全な金額であるとは言い切れません。
資産の一部を用いてインフレに負けず、資産の目減りを極力防ぐためにも資産運用を行うことが必要となってきます。